後継者を決めるプロセス

後継者決めでは、経営権の承継と会社の出口の方向性を分けて整理することが大切です。

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執筆
BCB Japan 編集部
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後継者を決めるより先に、会社の出口から考える順番で事業承継を進める図

2015年7月、ロッテホールディングス(ロッテHD)の創業家では、経営権を巡る動きがありました。創業者の長男が父と組み、弟を含む取締役の解任を通告しました。ロッテHDは取締役会を開き、この解任を無効と確認し、父から代表権を外しました。(出典:日本経済新聞(2015年7月29日、2019年6月26日、2020年3月18日、2020年6月24日))

副会長の解任

ロッテHDはロッテグループの会社で、上場はされていません。2015年、副会長だった創業者の長男は、ほかの経営陣と対立して解任されました。長男が父と組んで解任を通告したとき、父は92歳でした。長男は、ロッテHDの株の約3割を持つ一族の資産管理会社を支配していました。

弟がグループの経営権を握った後も、長男は株主として議案を出し続けました。

2019年と2020年の株主提案

2019年6月の定時株主総会では、長男が自分を取締役に選ぶよう求めた議案が否決されました。同様の議案は、従業員持株会や役員持株会などの反対で退けられてきました。

2020年1月、創業者の父が亡くなりました。2020年3月、ロッテHDは弟が4月1日付で会長に就く人事を決め、2020年6月の株主総会でも、弟の解任を求める長男の株主提案は否決されました。

継ぐことと出口を分けて考える

ここまで見ると、家族の間では経営権を巡る争いが長く続いてきました。経営権を誰が握るかと、会社の出口の方向性を分けて考える方法もあります。

会社の出口は4つあります。廃業、売却、M&A(ほかの会社と一緒になること)、上場です。事業承継は、親族や社員が会社を継ぐ道ですが、4つの出口には含まれません。事業承継は、出口の1つではなく、出口を次の社長に託すことだからです。

継いだあとも会社の出口は引き続き4つです。親族が継いでも、社員が継いでも、会社はその先に廃業、売却、M&A、上場のいずれかを選ぶようになります。ここで整理をしておくと、後継者を決める話と、会社をどう終わらせるか、どう手放すかの話が混ざりません。

たたむ以外の3つの出口では、必ず「この会社はいくらなのか」が問われます。出口の準備は、会社の価格を知ることから始まります。どの出口がよいかを決める指標は、社長自身がこの先どう生きたいかです。よくない出口は、何も選ばなかった出口です。

会社の価格を知ることから始まる順番

帝国データバンクの2025年の調査によると、全国・全業種の約27万社のうち、後継者が「いない」または「未定」の企業は50.1%(13.8万社)(出典:帝国データバンク)。この数字を見ると、後継者を決める話そのものが、多くの会社でまだ手つかずのままだということが分かります。

後継者決めを経営者が元気なうちに形にするには、順番があります。まず会社の価格を知ってから出口を決める。そこで、事業承継を選ぶなら誰に何を託すかを決める。この順番です。

会社の価格は、利益にPER(株価収益率)を掛けて考えるのが基本です。PER(株価収益率)は、『株価 ÷ 1株当たり利益』で表されます。『今の利益水準のまま推移した場合、投資した資金を回収するのに何年かかるか』という意味でもあります。買い手は、社長の報酬を相場に置き直した後の利益で会社を見ることがあります。価格の計算方法は1つではありません。

御社では、会社の出口を4つのうちどれにするか、事業承継を選ぶなら誰に何を託すか。このプロセスを、社長が元気なうちに、どこまで形にできますか。

※HTML版がこのページの正本です。本記事は事業に関する教育と情報提供であり、売却価格・融資・投資・税務の個別の助言ではありません。

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