【IPO準備】所有・決定・配当、3つの権利

上場を目指す前に、所有・決定・配当の3つの権利の配分を書面で定めておくことが大切です。

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BCB Japan 編集部
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上場準備の前に、持分・役割・出口準備の順番で整える流れの図

中国の中華ファストフードチェーン、真功夫は、1994年に東莞の街角にあったデザート店から始まりました。創業者は3人でした。持ち分は、一人の創業者が50%、もう一組の夫婦が合わせて50%でした。(出典:中国経済週刊(人民網、2015年7月6日)、財新(Caixin Global、2014年6月9日、2017年1月3日)、毎日経済新聞(2016年7月21日)、界面新聞(2022年8月27日))

2003年、夫婦の夫のほうが社長になりました。報道によると、両者は5年ごとに社長を交代するという口約束をしていました。2006年に夫婦は離婚し、妻の持ち分25%は夫のものになりました。夫は、もう一人の創業者と同じ割合の持ち株を持つことになりました。

口約束と上場準備

2007年、社長は上場の準備を始め、2つのベンチャー投資会社から出資を受けました。2008年、5年前の口約束は守られず、二人の対立は明らかになりました。2009年になっても、対立が続いていたため、別の会社を買って上場する計画は棚上げになりました。

2011年3月社長は逮捕され、2014年6月職務上の横領と資金流用の罪で、懲役14年の判決が確定。その後、もう一人の創業者は、上場による資金調達の計画を、インターネット金融の仕組みでいったん置き換えると発表。2016年の報道では、二人の創業者をめぐる争いが長年続き、上場が座礁したとされています。2022年には、内部抗争によって上場の機会を逃し、市場での地位が下がったと報道されています。

3つの権利を書面で分ける

BCBのエグジット戦略講座では、会社の出口を4つとしています。ひとつは廃業、つまりたたむこと。2つ目は売却、3つ目はM&A、4つ目が上場です。親族や社員が経営を継ぐ事業承継は、出口のタイミングを引き延ばす別の道となります。事業承継後も、会社の出口は引き続き4つなのです。

廃業以外の3つでは、必ず「この会社はいくらなのか」が問われます。出口の準備は、会社の価格を知ることから始まります。価格は、おおまかに利益にPER(株価収益率)を掛けて考えます。PERは、株価を1株当たり利益で割った数字です。今の利益水準のまま推移した場合、投資した資金を回収するのに何年かかるかという意味もあります。

真功夫では、5年ごとに社長を交代するという取り決め(口約束)がありました。会社には、所有、決定、配当という3つの権利があります。決定権は、会社の大事なことを決める権利です。ふつうは持ち株の数に応じますが、契約で変えることもできます。講座では、所有は人に渡さず、決定と配当は話し合って決めてよいと考えます。上場を考える前には、この3つの権利をどう配分するかを決め、書面に表しておくことがとても重要です。

お金が動く前に、法律、理屈、感情の順で合意を進めていくという方法もあります。口約束は感情や記憶に任されるのに対し、書面では確実に後からその基準を確かめられます。

自社に残る問い

どの出口を選ぶかは、社長自身がこの後どう生きたいかで決まります。真功夫のように上場を目指す途中で立ち止まってしまう時でさえも、出口そのものが悪いとは限りません。良くない出口は、何も選ばなかった出口だけです。

あなた自身の会社に置き換えて考えてみてください。現在の持ち株と役割、そしてその決め方は書面に残っていますか。上場を出口として考える前に、所有、決定、配当の3つの権利は、今、誰にどう配分されていますか。

※HTML版がこのページの正本です。本記事は事業に関する教育と情報提供であり、売却価格・融資・投資・税務の個別の助言ではありません。

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