【会社売却】株の売却と事業の売却

会社売却には株式譲渡と事業譲渡の2つの形があり、手続きや準備内容が異なります。契約の前提条件を事前に定めることが重要です。

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BCB Japan 編集部
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会社売却は株式譲渡と事業譲渡の2種類があり、準備内容が異なることを示した図

売り手と買い手が合意していても、取引が止まるケース

買い手が見つかり、条件もまとまり、売却を発表しました。それでも、取引が成立しないことがあります。

2017年8月、LIXILグループは、子会社のペルマスティリーザ社の株をすべて(100%)、別の会社に売ると発表しました。

ところが、売り手でも買い手でもないアメリカの審査機関(外国からの投資が安全保障の脅威にならないかを審査する委員会)から、「この取引は承認できない」という通知が届きました。売り手と買い手は、この株の売買契約(株式譲渡契約)を結んでいて、その契約には、もともと「必要な許可が得られること」という条件が書いてあったのです。

結局、許可が得られなかったので、2018年11月売り手と買い手は売買契約を解除しました。契約上、それを解除しても、約束を破った責任は発生しないとされています。(出典:株式会社LIXILグループの適時開示(2017年8月21日、2018年11月27日)。通知を出したのは対米外国投資委員会)

許可が条件であることも、解除したときの責任も、先に契約で決まっていたからです。

会社の何を売るのか

このケースにおいて、売ろうとしていたのは、株でした。中小企業の売却でも、主に使われるのは次の2つの形です。

1. 株を売る形(株式譲渡):株主(多くの場合は社長)が、買い手に株を売ります。株主が変わるだけで、会社はそのまま続きます。資産、負債、社員、契約、許認可も、原則として会社に残ります。

2. 事業を売る形(事業譲渡):会社が、事業の全部または一部を買い手に売ります。売るものを選べるので、事業の一部を手元に残すこともできます。

何を売るかで、準備が変わる

株を売る形では、買い手は会社をまるごと引き受けます。帳簿に載っていない負債(未払いの残業代など)も一緒です。そのため、買い手は会社の中をより細かく調べる傾向があります。売り手にとっては、会社全体の契約や書類を整えておくことが準備になります。

事業を売る形では、何を売り、何を残すかを先に決めます。契約や雇用は、相手の同意を得ながら、一つ一つ切り替えます。許認可は買い手に引き継がれないことが多く、その場合は買い手が改めて取得します。手続きは、株を売る形より複雑になるのが一般的です。(出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」)

税金や契約の細かい扱いは、会社ごとに違います。税理士や弁護士に確認することが必要となります。

どちらの場合でも、お金が動く前に書面をつくる

中小企業庁「中小M&Aガイドライン」では、売買契約で決める内容として、取引の「前提条件」と「解除条件」を挙げています。代金は、取引の最後に支払われるのが通常です。

お金が動く前に、必ず次の3つの取り決めを書面にするように心掛けましょう。

1. 求めること:自分は何を求め、相手は何を求めるのか

2. 出すものと受け取るもの:それぞれが何を出し、何を受け取るのか

3. うまくいかないとき:途中で止まったら、どう扱うのか

相手との関係性が良いことと、条件が書面で同意できることは、別問題です。

売却は、3つの出口の1つ

会社の着地点は4つあります。売却、M&A(ほかの会社と一緒になる)、上場、そして廃業です。そのうち廃業以外の3つが「出口」です。どの出口がよいかは、社長自身がこの先どう生きたいか次第です。会社の出口に優劣はありません。唯一避けるべきなのは、決断を先送りにして選択肢を失い、廃業に追い込まれることです。

ご自身の会社に置き換えてみてください。

売るとしたら、株でしょうか。事業でしょうか。

手元に残したい事業はありますか。

途中で契約プロセスが止まった時どうするかを、書面で表現できますか。

※HTML版がこのページの正本です。本記事は事業に関する教育と情報提供であり、売却価格・融資・投資・税務の個別の助言ではありません。

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